整えることでこんにちは さいたま市南浦和にて癖毛のお悩み改善を専門にしている美容師 渡邉 佑典です。
最近話題の髪質改善ってどんな施術を行うのですか?
美容室で髪を綺麗にすることができるメニューとしてはトリートメントが一般的です。
しかし、ここ数年で新たなジャンルとして地位を確立してきたのが『髪質改善』です。
まだ世に出たばかりということもあり髪質改善という施術の定義は非常に曖昧です。
あるサロンでは縮毛矯正のことを髪質改善と呼び、またあるサロンではトリートメントのことを髪質改善と呼んでいます。
髪を綺麗にすること=髪質改善という認識であれば問題ありませんが、髪質改善をやったことで髪がボロボロになってしまったという相談も後をたちません。
この記事では正しい髪質改善の捉え方や考え方を現役の美容師が解説をしていきます。
全体を把握することで髪質改善がどんなものなのか、なぜ髪質改善を行うことで大きなダメージを負うことがあるのかが分かります。
合わせて正しいヘアケアや髪質改善との付き合い方も解説をしていきます。
- ダメージヘアに悩まれている方
- 髪質改善を取り入れたい方
- 髪質改善で失敗した経験のある方
上記のようなお悩みのお持ちの方は是非ご一読ください。
髪質改善とは
髪質改善とは髪の毛の内側の栄養補給と表面を整えることで髪を綺麗にすることができる美容室独自の特殊技術です。
トリートメントの上位ケアとして認識してもらえると分かりやすいと思います。
あくまでも髪の毛を健康な状態に近づけることが本来の目的であり、癖を伸ばすことはできません。
後述しますが、癖を伸ばす行為は縮毛矯正の工程が組み込まれていることになるので繰り返すことで過度なダメージや髪質の低下を招くことが考えられます。
現在、髪質改善は美容院ごとの解釈が分かれておりお店ごとに提供している施術の内容は大きく異なります。
美容師の中でも正しく本質を捉えている方はごく一部であると認識しておりますが、いずれは大筋の解釈は統一されていくと思っております。
髪質改善で髪の形を変えることができるのか?
髪質改善を紹介している美容室のHPなどを見ていると次のような謳い文句の宣伝を目にします。
『癖を伸ばすことができます』
『パーマをかけることができます』
『くせ毛の方でも縮毛矯正をかけずにすみます』
髪質改善をしながら髪の形を変えることができるのであれば、一石二鳥であり魅力的な施術であるように思います。
どういったことかをわかりやすく解説していきます。
髪の形を変えるには縮毛矯正剤もしくはパーマ剤が必要
まず結論から言えばトリートメントでは髪の形を変えることはできません。
髪の形を変えるには縮毛矯正剤かパーマ剤のいずれかを使う必要があります。
ここでは名称を統一する為に縮毛矯正剤かパーマ剤のことをまとめて還元剤と呼びます。
還元剤を使用(髪の形を変える)すれば必然的にダメージは発生します。
髪質改善を行った結果で髪を痛めてしまったという失敗を経験された方の多くはここに該当することがほとんどです。
還元剤を配合したトリートメントで髪は痛む?
逆を言えばトリートメントであっても一定量の還元剤を配合すれば癖を伸ばすこともパーマをかけることも容易に行うことができると言えます。
弱い縮毛矯正剤や弱いパーマ剤を使えばどんな人でも過度なダメージは起こらないという保証がないようにトリートメントに少量の還元剤を配合した薬剤でも既にギリギリまでダメージを追っている髪に触れると事故が起こる可能性はあります。
仮に使う側(美容師)がそれをトリートメントだと思い込んで使用した場合には、安全対策などを無視していた場合に予期せぬダメージが発生することもあるでしょう。
薬剤の性能的な部分もありますが、使い手による操作ミスも髪質改善の失敗には大きな要素として考えられると思っています。
髪質改善はどのようなものなのか?
髪質改善はトリートメントをお客様1人1人の髪のコンディションに合わせてオーダーメイドにカスタマイズして行っていくものです。
トリートメントを文字にすると次のようなものになります。
- アルカリ膨潤
- CMCの補給
- ケラチンや疏水物の補給
- 酸縮合
- コンプレックス
- オイル
- 脱水固定
人によって現状で髪に足りているもの・足りていないものはそれぞれです。
Safe Beauではこれらを見極めて不足しているものを髪に補うということが髪質改善の基本であると捉えて取り組んでおります。
ちなみに一般的なトリートメントは上記の表でいうところのコンプレックスとオイルの補給に該当します。
これだけを見ても髪質改善とトリートメントには大きな差があることがよくわかります。
髪質改善はどんな髪質に向いている?
髪質改善は美容室のメニューの中ではトリートメントの分類にカテゴリーされます。
トリートメント=髪を綺麗にするものですので次のようなお悩みをお持ちの方にはお勧めができると思います。
- ダメージに悩んでいる方
- 綺麗な髪を維持したい方
- 艶が欲しい方
基本的に髪質改善は時間の経過とともに効力は弱まっていきます。
1〜2ヶ月に1度のペースで繰り返し積み重ねていくと髪のコンディションは向上していきます。
後述しますが癖などが原因で艶が損なわれていたり、手触りが悪いという髪質の方は髪質改善ではなく縮毛矯正が適している場合があります。
髪質改善で癖が治ることもある?
髪質改善を行うことで癖が治るということも考えられます。
もちろん癖を伸ばしたり完全なストレートにするには還元剤の作用がどうしても必須となります。
しかし年齢を重ねていくごとに現れる軽いうねりやカラーなどを繰り返すごとに現れてくるうねりなどの癖に関しては髪質改善によって収めることができる場合があります。
ただし、どちらも元がストレートな髪質であることが前提なので、元々の髪質が癖毛に悩まれているような方は髪質改善ではなく縮毛矯正などを検討しましょう。
年齢を重ねていくごとに現れる軽いうねりとは?
年齢を重ねていくと髪は細く痩せ細っていきます。また髪が伸びきらずに途中で切れてしまうような現象が起こります。
このような髪質の方は髪のケラチンや疏水物が不足し水と油のバランスが崩れることで癖が発生します。
髪質改善で髪を作る元となるケラチンを補い、水と油のバランスを整えることで癖を改善することはできます。
ただし一定数以上に癖が強く現れている場合は縮毛矯正を選択した方が綺麗な状態を作り出すことができる可能性もあります。
髪の毛の状態としてはかなりセンシティブであることは間違い無いので縮毛矯正の取り扱いには最新の注意が必要です。
カラーを繰り返してくごとに現れる軽いうねり
カラーを繰り返していくと髪の中の栄養素が大きく失われていきます。
髪の栄養素が少なくなりとうねりや広がりなど一見するとくせ毛なのかな?と思わせるような髪質となります。
そのような状態で縮毛矯正をかけると一時的には治るものの、ダメージが新たに加わっているということになるので得策ではありません。
髪質改善で内部の栄養素の補給、酸の効果で乱れた髪の結合を整えてオイル補給とコンプレックスで表面を整えることが改善の近道です。
また予防的な意味合いでヘアカラー時も髪の補強を取り入れることも重要な要素となります。
髪質改善とシステムトリートメントとの違い
システムトリートメントとは美容室で一般的に行われているトリートメントのことだと認識をしてください。
髪質改善とはトリートメントをより細かく丁寧に行うことで次のように+αの多くの効果を得ることができます。
- 髪の奥深くまで栄養を届けることができる
- 髪の毛と結合させて栄養素を留めることができる
- 髪の毛の表面を整えることで艶を出すことができる
順番に解説をしていきます。
髪の奥深くまで栄養を届けることができる
髪質改善のファーストステップは髪を膨らませることから始めます。
膨らませることでより多くの栄養素が髪に浸透していきます。
またCMCを定着させることで髪の深部まで栄養を届ける道筋ができ、通常のトリートメントよりも奥深くまで栄養が行き届くようになります。
髪の毛と結合させて栄養素を留めることができる
髪の毛の強度はS-S結合というものに左右されており、カラーやパーマなどの施術を繰り返すことで徐々に失われていきます。
この状態で栄養素を入れても流れ出てしまい、髪の中に留めることができません。
そこで有効なのが酸を使った髪質の強化です。
壊れたS-S結合を繋ぎ合わせることで髪の強度を高く保つことができます。
髪の毛の表面を整えることで艶を出すことができる
多くの方が髪の表面には凹凸があり均一ではありません。
髪質改善は髪の表面をオイルとコンプレックスで均一化することができるので光を綺麗に反射することができるようになり艶感を感じやすくなります。
それと同時に中に入れた栄養を逃さないための蓋の役割も果たしてくれるのでトリートメントの持続効果も高まります。
髪質改善と縮毛矯正との違い
一般のお客様の認識の中では髪質改善と縮毛矯正は同じ扱いとして考えられている傾向にあるように思います。
しかし実態としては全くの別物です。
縮毛矯正は還元剤という薬剤を使用してくせ毛を伸ばす技術です。
当然髪の毛へのダメージは発生します。
髪質やダメージ状況に合わせてトリートメント剤を使用して髪を補強していく技術です。
髪質改善によりダメージが発生することはなく、繰り返すごとに髪のコンディションは高くなっていきます。
それぞれの特徴を捉えた上で自分の髪にあったベストな施術を選択するようにしましょう。
髪質改善と縮毛矯正を同時に行うこともある?
髪質改善と縮毛矯正は全く別の技術ではありますが、一緒に行うことは十分にあります。
縮毛矯正は基本的に根元の伸びてきた部分のみをアプローチし、すでに真っ直ぐになっている毛先部分は新たにかけることはありません。
しかし縮毛矯正の負担を補ったり、新たにダメージが発生しないようにする対策として毛先部分に髪質改善を行うことはあります。
癖を伸ばすためのアイロンと脱水のためのアイロンは違う
髪質改善の工程の1つにストレートアイロンを通すというものがあります。
この工程を切り取って考えると縮毛矯正に類似していることは確かですが、目的は明確に異なるものとなります。
縮毛矯正をかける際にアイロンを使用するのは癖を伸ばすために行なっております。
対して髪質改善の仕上げにアイロンを使用するのは髪の中の水分を抜くために行います。
髪質改善後の髪の中と表面に栄養が入っている状態で髪の水分を抜くとそれらが固定されて定着する特性があります。
髪質改善と酸熱トリートメメントとの違い
酸熱トリートメントは髪質改善の工程の1つであると考えております。
ただし使用する酸の種類によっては髪に負荷がかかったり継続して使用することに向かないものもあるので注意が必要です。
酸熱トリートメントとは髪の中に『酸の成分』を入れてストレートアイロンの熱で定着→固定する工程を指します。
前途したように私自身、髪質改善の工程の中に酸を使用しており仕上げのタイミングでアイロンで脱水を行います。
なぜ?酸熱トリートメントが嫌われる理由
酸熱トリートメントを経験された方の中には次のような印象を感じられた方も少なくないはずです。
- 髪の毛が硬くなりすぎた
- ダメージが発生した
- ヘアカラーの退色が激しい
酸を使う際には2つのポイントに気をつけなくてはいけません。
1つ目はどのくらい酸性に傾けるか?
2つ目はどんな酸を使用するか?(次の項目で解説します。)
パーマやヘアカラーなどの施術を行う際はアルカリ性に傾ける必要がありますが、アルカリに寄せすぎると不要なダメージが発生します。
酸熱トリートメントも考えは同じで使用することで酸性に傾きますが、酸性に寄せすぎると髪は硬くなりダメージも発生します。
髪の毛にストレスのないpH4.5~5.5に近い範囲で酸熱トリートメントを行わなければ、トリートメント効果は薄れてしまい、ダメージなどの原因を引き起こすことも考えられます。
酸の成分によっても仕上がりは異なる
酸熱トリートメントと言っても使用されている酸は多岐に渡ります。
- グリオキシル酸
- マレイン酸
- レブリン酸
- サリチル酸
- グリコール酸などなど
どのような髪質にどの酸の成分を使用するかでもマッチするか否かが異なります。
つまり酸を髪に入れて熱を加えればOKという安易な使い方をすればダメージの発生などの事故を招くことは十分に考えられます。
反対に髪質に適した酸を使用して安全にできる範囲で行うことで髪の状態を向上させるポテンシャルを秘めているということも言えます
髪質改善でのダメージの有無
髪質改善の本来あるべき姿はトリートメントです。
ここ最近ではトリートメント剤の中に縮毛矯正やパーマなどの薬剤をミックスすることで癖を伸ばす髪質改善が存在していたり
癖や広がりを抑える為に危険な使い方での酸を使用した酸熱トリートメントが一般化していたり
髪質改善の役割を超えた使用方法もあるようです。
このような使い方をしている場合は髪質改善よりもいい結果が得られる反面で髪の毛には目に見えないダメージは発生していきます。
また繰り返すことでダメージが進行することから髪質改善を行うことで髪が痛んでしまったという悲しい思いをされる方も出てきています。
髪質改善でビビり毛の補修は可能か?
ビビリ毛とは縮毛矯正やブリーチ、日々のアイロンによる熱ダメージなど極端なダメージを受けたことで発生する最もダメージのひどい状態です。
結論から言えばビビリ毛は髪質改善で直すことはできません。
もしビビリ毛が発生してしまっているのであれば切ることが1番の改善方法です。
ビビリ直しなどの特殊技術を行うことができる美容師さんがいることも確かですが、万が一失敗するとさらに悪化することも考えられます。
また100%成功する保証も持てませんので、潔く切ることが最善の選択だと思っています。
髪質改善で結果を出すにはどのくらいの期間が必要か?
髪質改善で結果を実感するまでの期間は人それぞれの現状によって異なります。
ダメージが少ない方 | 1回の改善 |
そこそこのダメージの方 | 2〜3回 |
ダメージが強く見られる方 | 6回〜 |
あくまでも目安となりますが上記の表を1つの目安として捉えてください。
また髪質改善で補修のお手伝いができるのはあくまでも美容室にご来店いただいている間のみです。
できる限り持続させて効果を最大限に発揮する為にはご自宅でのケアも不可欠となります。
普段のお手入れは?
ご自宅でのヘアケアは綺麗な髪を保つ上で非常に重要な要素の1つです。
髪を綺麗にすることがプラスのヘアケアだとすると髪のダメージの原因を断ち切ることはマイナスのヘアケアと言えます。
お店での髪質改善がプラスのヘアケアだとすると、ご自宅でのヘアケアは髪を痛めないためのマイナスのヘアケアだと思っていてください。
何を使えばいい?
ご自宅で使用するアイテムは1回限りではなく継続して使用しなければ意味を成しません。
考え方としてはいいアイテムを一時的に使用するのではなく、長く使い続けられるコストのものをピックアップして使用するようにしましょう。
優先順位は次のように推奨しております。
- シャンプー
- 洗い流さないタイプのオイル
- トリートメント
- (ミスト)
例えば1年間継続して使用すると考えたときに全てのアイテムを使用することができることがベストです。
しかしコスト面で現実的ではない場合はシャンプーのみを1年間使用する認識でOKです。
余裕のある時にはプラスワンアイテムでケアを行うことができればそれだけでも髪質はいい方向に向かっていくと思います。
ヘアケアアイテムに関しては現在使用されているものや髪質、ダメージの状態などにも左右されるのでご来店後のカウンセリングにて詳しくお伝えさせてください。
髪質改善のビフォーアフター
以下は実際にSafe Beauにご来店されて髪質改善のメニューをご体感された方のビフォーアフターです。
ヘアカラー+髪質改善(ノンアイロン)
度重なるヘアカラー により髪のダメージでまとまりが出にくいとご相談をいただきました。
ヘアカラーと髪質改善を組み合わせる際は次の2つのケアを行います。
- ヘアカラーによるダメージの予防
- 既にダメージを受けた部分の補強
洗って乾かしただけでもまとまるようになりました。
ダメージが抑えられれば色落ちも緩やかになり、結果的にはカラーの頻度も減らせるようになります。
そうすることでよりダメージの発生を抑えることができるようになります。
髪質改善トリートメント(仕上げにアイロン)
ブリーチをしているお客様で切れ毛と枝毛と引っかかり餓鬼になるとご相談をいただきました。
栄養の補給と固定をしっかりと行うことで髪の補強を行い健康な状態に近づけていきました。
このくらいのダメージレベルの方は1ヶ月ペース×3〜6回を繰り返す必要があります。
縮毛矯正+髪質改善(ノンアイロン)
根元〜中間の癖が出てきている部分に対して縮毛矯正を、毛先部分に対して髪質改善を行いました。
この場合の髪質改善の役割は2つあります。
- 縮毛矯正の薬剤から毛先の守る予防ケア
- 過去の縮毛矯正によるダメージの補修
本来であればリタッチ矯正を行いますがダメージの予防とダメージのケアとしてよく使う組み合わせです。
縮毛矯正+髪質改善(ノンアイロン)
毛先のざらつきや枝毛による毛羽立ちなどを抑えるためにも髪質改善は有効です。
今回は過度にダメージを負ってしまった毛先に対して形の再形成を行いました。
毛先は整えるほどしか切っていませんがまとまり感は向上したと思います。
髪質改善に関するよくある質問
A:髪質改善は1ヶ月半ほどは持続します。その後も完全にリセットされることなく徐々に効果が薄れていくイメージです。
トリートメントは数日〜2週間ほどが目安です。使用するホームケアにも左右されます。主に表面のコーティング剤が取れると完全にリセットされてしまいます。
A:抑えられる場合と抑えられない場合があります。特にカットでスカスカに梳(す)かれてしまっているような場合は緩和することはできても完全に戻すことができません。伸ばしている場合でも髪質改善と合わせて枝毛や切れ毛のみをカットする(トリミング)ことをお勧めします。
Q:家でのお手入れで意識するべきことはありますか?
A:髪質改善はトリートメントなので問題なく行うことができます。
A:単体で行う場合は90分、カットとセットの場合は120分、他のメニューにプラスする場合はプラス30分を目安に考えていてください。
髪の長さや髪の量によって多少の前後はあります。
A:ありません。